じんわり頭が痛くなりながらなんとかベッドから出る。必死すぎてそこからの記憶があいまいだけど、あと1分、30秒で発車する!と焦って駆け込む、いつもの満員電車。
しまるドアのすぐ前で、垂れてくる汗のつぶをおさえながら息を整える。はぁ、はぁ、私ってなんでいつもギリギリなんだろ。
せまい車内で、ひとの荷物が体に当たって「クソ、無神経。」と思い、足を踏んだり踏まれたりしないか、常に気を張り巡らせながら、ねぼけた頭で必死に体幹をつかう。
出社もやっぱりギリギリで、8:59にタイムカードを切る。直前になるのはいつも同じメンバーで、今日は間に合ったぁ、なんて笑いながら、真剣な顔できょうのタスクにもう取り掛かっている同僚を横目に、いそいそとロッカールームへ向かう。
仕事は、やってもやっても、終わった!と思えたことは一度だってない。でもたぶん、終わらせたところで誰もホメてはくれない。
あ、ヤバイ、あの雑用やってなかった。上司はまだ気づいてないだろうか。よし、別の仕事に夢中っぽい。まだいける、大丈夫。そう思った矢先に「そういえばあの件は?」ドキッ!!突っ込まれたり、突っ込まれなかったり、いつも綱渡りだ。
まいにち、まいにち、目が回ってかけまわって、あぁ、あれもこれも中途半端だ、と焦るうちに気づいたら窓の外が暗くなっている。わたしがデスクのまわりでくるくると同じことを繰り返している間に、季節はいつのまにかふたつも変わっていた。
寒い。
そして、パンプスを履きっぱなしの足が、ようやく、ズキズキと痛くなっていることに気づく。
汗ばんだストッキングが蒸れていて、不快なかんじがする。
「なんか、自分、このままでいいのかなぁ。」
メトロの中でなんとなくSNSをひらくと、やりたいことをやり、言いたいことを言う人たちのインタビュー記事が流れてきた。
「特別な人たちだ。」
「どうしたらこんな風になれるんだろう。」
「でも本当のわたしは、この人たちみたいに人生に満足しながら生きているはずなんだ。」
「まあでも、いつか、何年か経ったら、きっと、何かきっかけがあって、この人たちみたいな生活をしているだろう」
「いつかは‥」
この会社を辞めるという選択肢は、ない。少なくとも、数年のうちは。
こんなに忙しいのに、自分がいなくなったらあの案件も、この案件も、崩壊するにちがいない。そうなったらどうするんだ?何十人に迷惑がかかるし、それ全部がわたしのせいになるんだ。
上司も「無責任。使えない。信じられない。社会人失格。」って、目線でも言葉でもめちゃくちゃ言ってくるだろうし。
いまこの担当があと半年で区切りがつきそう‥もしかしたらつかないかもしれないけど‥もしキレイに区切れたと「仮定したら」、部内異動がある。そしたらもう少し時間に余裕もできると思う。でもそれって、地方に異動するための準備期間だし、あれ?じゃあ地方に異動したら、同棲してる彼氏とはどうしよう。
‥まあ、あとで考えればいいか、まだ先のことだし。どうなるかわからないし。「その時になってみないとわからないよね。」
そもそも私、会社辞めたらなんのスキルもないし、どうするんだろう。っていうか、副業ってどうやるんだろう?とりあえず、アロマが好きだし週末アロマの教室通ってみよう。アロマテラピーの資格があったら、講師とかできるし、教室も開けるかもしれない。そしたら生きていけるんじゃないかな?資格があったらなんか安心だよね。意識高そうに見えるし、一石二鳥!
はぁ、残業つらい。でも残業することしかわたしにできることないし。半分惰性で残業してるけど。
「残業しても仕事のクオリティ低くない?残業してる価値あるの?」
「すみません‥」「いや、もう謝らなくていいから」
なんか最近、よく分からないけどまいにち頭痛がするなぁ。とりあえずロキソニン飲んどこ。
なんか最近、よく分からないけどまいにちドキドキする。とりあえず救心飲んどこ。
帰り道には、酒でも飲まないとやってられないよなー。あー、おいし。
思わず、深夜の住宅街で西野カナ歌いながら歩いちゃうよねー!
あ、やばい、洗濯まわしてない。まあ、もっかい同じの着ればいっかー。
このあと私は体をこわして休職する
わたしは、つらいひとは会社を辞めたほうがいいよなんて、1ミリも言うつもりはない。
ただ、これだけは自信をもって腹の底からいえるんだ、いまわたしの人生には1ミリの後悔もないってことを。
わたしはただ、ちょうど1年前の自分に、こう言ってあげたいだけなんだ。
好きにしていいよ。
なぜなら、びっくりするくらい、ぜんぜん死なないから。
あんなにド繁忙期のなか抱えてた仕事は、拍子抜けするくらい、誰かが代わりに終わらせてくれたよ。
(でもそれはマジで謝罪すべき。笑)
今までずっとしがみついていたものは、意外とそうでもないモノだったみたいよ。
いまでは、なんだかんだ、毎日たのしいことばっかり溢れまくってるよ。
1ヶ月1ヶ月すべてが節目の、めちゃくちゃ濃い人生になってる。
だから、好きにしていいよ。
「この選択をしなければ、この人たちには会えなかった」と心の底から感謝できるようなすばらしい人たちとの出会いがたくさん待ってるから、安心しましょう。
選んだものを正解にするのは、他の人じゃなくて、じぶんらしいよ!って、
メトロのなかで読んでたインタビュー記事の中の人たちも、たしか、そんなことを言ってたんじゃないかなと思うよ。
ひとはけっこうあっという間に死んじゃうし、人生は一回きりだというし。
いまだったら、突然人生が終わっちゃっても、まあ仕方ないか!って思えるような気がする。
ね、こんな風に思えるなんて、めっちゃビックリでしょ。
けっこうイキイキしてると思うんだよね!
ということで、またこうして、ブログの中でお話しできるのをたのしみにしております!
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